2019年9月23日月曜日

Blenderの時代がくるカモ?その2

Blenderの定点観測的メモ。

今度は国内メジャーIPを制作しているアニメスタジオでもBlenderへの寄付&使用の話がでているようです(発表から結構経ってますが)。

エヴァンゲリオン制作にBlender使用

2019.7.30に株式会社カラー、株式会社プロジェクトスタジオQがBlenderに寄付を発表。
社内でのCG制作ツールをBlenderへ移行を進めているという話。
※上記会社はエヴァを制作しているところです。念の為。

映像系は3dMaxが多い

主に映像系では3dmaxが多いと言われています。株式会社カラーでも3dsMaxを使用しているとのこと。だいたい年間の使用料は25万です。
(サブスクリプションによりますが約23~25万。買い切りライセンスは無し)。

これはデザイナー1名が業務をする為に年間約25万必要ということです。
社内にデザイナーの作業人数分必要になります。このコストが結構馬鹿にならない。
※ここについては極論「どうせ売り上げ出ればペイできるでしょ」という意見もありそうですが、小規模な会社ではそんなに何本も3dMaxばかり入れるわけにもいかない場合があります。他にも使用する有料ツールはあるわけですし、PC等の機材費用も定期的なリプレース費用がかかります。比較的デザイナ系ツールの方がプログラマ系ツールよりコストがかかりやすい気がします。

3dmaxのコストが協力会社との連携の足かせになる

作品制作で自社のみでは人手が足らず、協力会社等と連携するのはよくある話。
そこで以下のような問題があるとのこと
  • 3dsMaxをメイン導入しているのは小~中規模の会社。
  • 人数を確保する為に複数の会社と連携。
  • 管理コストが高くなる。

依頼先が大手なら大量のデザイナを抱えていて一括で済むのかもしれませんが。なかなかそううまくはいかないようです。
中小企業だと全員が3dsMaxを使うと採算がとれなくなってしまうとのこと。結果1社では人員を確保しきれずに複数の会社に依頼。管理コストが高くなるという図式。
※やはり国内ではMayaを使っているところが多いようです。
※複数会社に依頼すると各社ごとの日程、品質調整管理など実際には思った以上の手間が発生します。昨今はその為にShotgun等の管理ツールが続々と発表、販売されてます。


その他

グリースペンシル機能が決めて

グリースペンシル機能が決めて
2Dアニメに最適とのこと。
※使ったことないので詳細割愛(笑。

Blender財団も協力的

日本のアニメ制作会社が使うということがやはり大きいようです(しかも有名IP持ち)。
本格移行は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」完成後。
既に諸々導入前検証済らしく、次は実施検証という流れ。
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が2020.6までやっているとのことで、それ以降Blenderの本格導入という感じらしい。
※特に日本は「他社が使ってるから」ということで影響を受ける会社も多いので、またニュースリリースでもあれば普及が加速するかも?

Blenderの不足部分はUnityと組み合わせることで解決

具体的にどこが不足とは書かれていませんが。

過去に(2016頃)UnityはMARZAと協力して映像系への試みもしています。親和性が高いのかもしれません。
参考:"THE GIFT" (created using "MARZA Movie Pipeline for Unity") 本編
 

「紙と鉛筆」並みのコストで作品作りを学べる

本来作画アニメーターは紙と鉛筆さえあれば絵を描ける。同様に3DCGクリエイターもBlenderがあれば「紙と鉛筆」並のコストで作品作り、学ぶことができるとのこと。
※さらにそのスキルがそのまま現場でも有用なのが重要だと思います。





雑感

良い意味で無料で使えるというのは普及、発展という観点ではかなり大きな要素だと思います。今回そこに国内大手スタジオも採用というブランディング要素も追加されて条件が揃いつつある気がします。
ちなみにゲーム系はMaya一色感がある為、国内ゲームクリエイタ系専門学校ではMayaがカリキュラムに組まれています(映像系は3dmax)。

ゲーム系の専門学校に行っていない、が業界に興味があるので勉強したい人にはMayaの費用が結構負担になります(学生ならアカデミックライセンスもありますが、それでも学生には負担でしょう)。勿論相応のスペックのPCの購入費用もかかります。

すると傾向としてゲーム系就職予備軍は専門学校生が多くなると思われますが、それ以外にも潜在的に尖った人材はいるはずです(むしろ学校で画一化されていないところに)。

他の3Dソフトが使えてもMayaが使えないことで業界への流入の敷居が高い気がします。
※新人ならまだしも、中途転職だと「Mayaが使えない」のは結構致命的な可能性が高い。昨今はHoudiniデザイナの方が希少ぽいですけど。


過去このようなことをひっくりかえした事例がUnityの「ゲーム開発の民主化」であり、LinuxによるプロプラエタリなUnix OSの駆逐(既に駆逐と言っても良いでしょう)でもあります。

OS、プログラミング、そして次はデザイナーの世界が解放される・・・のかもしれませんね。

当然3D世界のプロシージャル化も加速すると思われ、次は小学生が3Dモデルを簡単に作って遊んでいる時代がきそうです。

そのときのクリエイションはさらに先を行っているはずなので、どうなるのか早く見てみたいですね。

というか、できればそこで作る側に参加したいですね。その時業界のデザイナ、プログラマに要求されるスキルは恐ろしいことになっているかもしれません(職人から分業化を経てまた職人的なものへの回帰も?)。少なくともマルチスタックなスキルは必須になりますし。ソフトウェアの無料化で裾野が広がることで、本業への要求スキル爆上げみたいな(笑)。本気でやってる人には「望むところ」なので爆上げ上等でしょうが(笑)

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